「具体と抽象」を読み思考の往復整理方法を考える

SHOWROOMを運営する前田裕二さんの『メモの魔力』を読んでいるのですが、本書の中で紹介されていた『具体と抽象』という細谷功という方の書籍が気になったので読んでみました。とても勉強になる良書です。

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抽象=わかりにくい?

具体と抽象というタイトル通り、それぞれの意味を比較しながら言葉を定義して解説していきます。特に「抽象」という言葉に対して「わかりにくい」という概念を見直し、具体性と抽象性を正しく理解して思考を整理することで、問題解決やクリエイティブな思考ができるようになれば、というのが本書の掲げるテーマです。

「具体的な指示」と「抽象的な指示」

僕はWEBディレクターという仕事がメインで、進行管理をしながらデザイナーや制作チームに仕事を依頼していきます。

クリエイティブな依頼を行う場合は、大きな視点で描いた目的やブランドの持つ背景などを表現するためには「抽象性」をもち自由度の余白を残す必要があります。初期デザインの段階で「ボタンはこの色で」「サイトはこの競合に似せて」といった具体的な指示であればあるほど、クリエイティブの幅は狭くオペレーション化してしまいます。

一方で制作やシステム構築などにおける指示としては、具体性を持った要件でロジックを明文化して設計をまとめて仕様どおり構築して貰う必要があります。特に実装フェーズとしては抽象的な指示ではなく、より具体的で明確な指示で確実なものを作っていく必要があります。

もちろんいずれの場合も条件下次第で変わってきますが、状況とステータスを踏まえて具体・抽象のバランスを取る必要があります。

議論がかみ合わないのは抽象レベルの差があるから

そして議論がかみ合わない=抽象レベルの方向性があっていない、という考え方です。抽象化してシンプルに短絡的に整理された言葉を、具体的な極論と捉えてしまい意見が衝突するケースが特にネットだと顕著に見受けられます。

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特に「二項対立」が「二者択一」に見えてしまうケースなどがあげられています。

二項対立

二項対立(にこうたいりつ、英:dichotomy、binary opposition)とは論理学用語の一つ。二つの概念が存在しており、それらが互いに矛盾や対立をしているような様のことを言う。元々は一つの概念であったものを二分することにより、それを矛盾や対立をする関係へと持っていくことを二項対立と言うこともある。

例えば、「陸と海」の例で言うなら、「陸」は「海でないもの」、「海」は「陸でないもの」ととらえて初めて意味が明瞭になる。「陸」も「海」もそれだけで意味をなしているわけではない

出展:Wikipedia

もともと抽象的な例え話・思想の話だったはずが、そんな具体的な極論はないだろう!とずれていくケースでしょうか。これは各々の前提レベルがずれているからという点が問題です。

言葉だけで全てをサポートするのは難しいのですが、論点がずれる際に「は?何言ってんの」とならずに、相手の思想の抽象具体レベルをあわせて議論を交わすことが一つの解決策なのかもしれませんね。

思考の往復整理方法を考える

発注や議論など対人のやり取りを行う際には、抽象と具体のレベル感を常に意識して、状況とケースに応じて抽象化レベルを上下させる必要があります。これまで無意識にやっていた部分をより意識的に行うことで、伝えたいこと・依頼したいことを明確にコントロールできるようになるのではないでしょうか。

これまでぼんやりだった「具体」「抽象」という概念をしっかりと言語化してくれた書籍だと思います。『メモの魔力』とあわせて、是非読んでもらいたい本ですね。

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